吉村昭さんが亡くなられました
2006年 08月 06日
なんだか、忙しさに書ききれずにいると、訃報ばかり書くことになってしまって余計にへこみます・・。
私が、始めて読み続けた新聞小説が、吉村さんが連載されていた「海の史劇」でした。小学生だったのではないかと思います。村上豊さんの挿し絵も好きで、スクラップしていました。
「海の史劇」は、日本海海戦を主舞台としたお話でしたが、その後も、吉村さんの小説は現在に至るまで読み続けていました。
吉村さんの小説の特徴は、やはり、精緻な筆致にあると思います。
普通の小説も書かれましたが、私が好きなのは、やはり歴史物でした。太平洋戦争物から始まって、近代、幕末へと書き進んでおられましたが、最近、個人的に有難かったのは、最新資料を駆使した上での幕末ものを読めるということでした。
司馬遼太郎さんと守備範囲が近いところもありますが、司馬さんのものが大俯瞰だとすると、吉村さんのものには、非常に冷静でありながら、対象の直ぐ側で物事を見ているような緊迫感に溢れていました。
あの筆致に迫る作家は、今のところちょっと思いつきません。
新作が読めなくなるのは本当に残念です。
・・・
映像向きの素材も多いと思うのですが、「うなぎ」以外は、あまり成功しているとは思えないと思います。
個人的には「深海の使者」「大本営が震えた日」「高熱隧道」、そして放っておいても熊を着ぐるみにさえしなければ(^^;)「ジョーズ」に匹敵する映画にはなると思える「羆嵐」など、映画にして欲しいものは多いです。
まあ、つまらない映画になるよりは、小説を読んでいれば良いのもたしかですが・・。
また、「戦艦武蔵」あたりから読み返したいと思います。
by cariq
| 2006-08-06 23:42
| 読む