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お気楽雑記帳


by cariq
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「男たちの戦記 ー東宝戦記映画音楽集ー」キスカマーチ!が聴ける!!


 これは、東宝の、主に太平洋戦争を主題とした戦争映画のサントラ集です。

 最近は、なくなってしまいましたが、かっては、夏になると毎年のように劇場で邦画の戦争映画をやっていました。
 当然のことながら、日本の戦争映画は基本的には”負けてしまう”映画なのですが、東宝の作品は、地力として会社が持っている明快なカラーと、強力な特撮陣によってスケールの大きな戦闘シーンを作ることが出来たためなのか、他社の作品が陥りがちだった「負けたから皆悪い」的な表現よりは「なぜ負けたのか?」といった冷静な解析や「次にどう繋げれば良いのか?」といった、前向きの表現が強かったように思います。ただ、その分、「表現が甘い」とかいった悪口も聞かれはしますが・・。だいたい、「前向き」だと「甘い」というのはどうかと思うのですが・・。

 それはともかく、このサントラ集では、長く手にすることが出来なかった映画の名旋律を楽しむことが出来ます。

 特に、必聴は「キスカマーチ」です。

 残念ながら本編の音楽は、ステレオ録音されておりながら原版不備だそうでモノラル収録になっていますが、レコードで短縮発売されていたステレオ版「キスカマーチ」が全尺収録されています。
 「太平洋奇跡の作戦 キスカ」は、以前も書きましたが、アリューシャン列島、キスカ島守備隊の艦隊による撤退作戦を描いた丸山誠治監督の傑作ですが、團伊玖麿による音楽も素晴らしく、特にこのマーチは、映画を邦画らしからぬ快活さに満たせてくれています。
 惜しむらくは、このレコード盤は、映画盤と若干譜面が違っているのと、演奏がエレガントなことです。
 本編での「キスカマーチ」は、譜面も演奏も、まるでスキップをしているかのようで、その青空のような解放感が、レコード盤には欠けています。
 それでも、この名曲を丸々聴けるのが喜ばしいことであるのは間違いありません。

 マーチといえば「日本海マーチ」も収録されています。

 佐藤勝が日露戦争をテーマにした「日本海大海戦」に作曲したこのマーチは、結局定番の「軍艦マーチ」に差し替えられてほとんど使われなかったそうです(^^;)

 その他にも、このサントラには以下の映画音楽が収録されています。

(収録作品/作曲家)
    ・・・
・日本海大海戦                 佐藤勝
・青島要塞爆撃命令               松井八郎
・連合艦隊                   服部克久
・激動の昭和史 軍閥              眞鍋理一郎
・ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐   團伊玖麿
・零戦燃ゆ                   伊部晴美
・大空のサムライ                津島利章
・ゼロファイター大空戦             佐藤勝
・太平洋奇跡の作戦 キスカ           團伊玖麿
・海軍特別少年兵                佐藤勝
・太平洋の翼                  團伊玖麿
・激動の昭和史 沖縄決戦            佐藤勝
・潜水艦イー57降伏せず            團伊玖麿
・日本のいちばん長い日             佐藤勝

 このような作品の音楽集が出るなんて、本当に嬉しいことです。

 ちなみにこれは、基本的には通販しかされないそうなので興味のある方は「東宝ミュージック(http://www.toho.co.jp/music/st-shop/index.htm)」にお出かけ下さい。岩瀬政雄さんの「サウンドトラック制作レポート」も必見!です。

・・・
 このサントラを出されている東宝ミュージックとそのプロデューサーをなさっている岩瀬政雄さんは、私のような邦画のサントラ好きには本当に有難い存在です。邦画メジャーも各社ありますが、このように地道に私たちに音楽を聴かせてくれるのは岩瀬さんと東宝ミュージックだけです。
「黒澤明」のサントラや、現在も継続中の「ゴジラシリーズ」の完全版サントラなど、本編のサントラはもちろんブックレットだけでも圧倒的なもので本当に頭が下がります。
 これからも、是非、がんばって様々な埋もれた名作を世に出していただきたいと願っております。
by cariq | 2005-12-21 17:39 | 聞く