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お気楽雑記帳


by cariq
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「蝉しぐれ」・・青春のものがたり、ですよね?

「蝉しぐれ」(映画版)を見ました。

 江戸時代。地方の小藩(海坂藩)で暮らしていた少年、牧文四郎は、貧しいながらも友人の逸平や与之助、そして幼なじみの ふく たちと純朴な生活を謳歌していました。
 ところが、そんな生活もお家騒動に巻き込まれた父、助左衛門が切腹させられることによって一変します。牧家は、困窮し、長屋暮らしへと追いつめられ、ふくは、江戸屋敷の殿への奉公が決まります。仲の良かった者たちが、気ままに会う事も出来なくなってしまったのです。
 そして、数年後。
 牧家の名誉回復が行われ、文四郎の出仕がかなうようになりました。そうした中、文四郎は、父や自分たちを追いつめたお家騒動が再び起こりつつあることを知らされます。そして、その渦中には、殿の側室となっていた”ふく”の姿があったのです・・。

・・・

相次いで亡くなられましたが、池波正太郎、司馬遼太郎、藤沢周平の作品をリアルタイムで読めてなんて幸運なんだ!と思っていました。
そして、お三人の中で”小説”として、最も好きだったのが藤沢周平さんの作品です。

池波さんの作品は、語り口が好きで、司馬さんのは、余談が楽しく、そして藤沢さんのは作品の詩情が好きでした。

小説の中には、映像にしない方が良さそうなものなどもありますが、藤沢周平の作品は、自然の描写が素晴らしく、もともと映像化には最適なんですよね。(というか、その描写を丁寧にカットで割っていくと映像になってしまうというイメージでしょうか・・。)しかし、活躍された時期には既に映画界が衰退していたために、なかなか映画化されることはありませんでした。それが最近では、山田洋次監督が毎年のように作品を発表されたり、本作「蝉しぐれ」も映画になったりと、なかなか嬉しい状況になっています。

で、「蝉しぐれ」は、発表直後から読んでいましたが、多くの人が言われているように数ある作品の中でも傑作といって良いものだと思います。
 だもんですから、それを、すぐに映画化しようとした黒土監督は、偉い!(^^;)と、思っていました。NHKでやっていたテレビシリーズも見ておりました。

期待していた通り 映画「蝉しぐれ」は、なかなか丁寧に作ってありましたね。個人的には"殺陣”が、良かったです。”秘剣”を使うところだけは、あんなことしてる間に斬られちゃうだろう(^^)と思いましたし、ところどころに(やっぱり斬られちゃいそうな^^;)”間”がありましたが、基本的にはチャンバラチャンバラ(踊り的ということです)したところがなくて良かったです。
 あと、風景描写、市井描写ですね。山田洋次作品は、なんだか山形(原作のイメージだといわれている)に拘りすぎていて(方言使用もですが)妙にかた苦しくったり、かと思えば意味もなく幕末にしていたりと偏向したところがありましたが、この作品では、日本人共通の”美しい故郷”のほうにイメージがシフトしてあって判りやすく、美しかったです。
 しかし、後半の”逃げる"ディティールには、もっと凝って欲しかった・・。原作でも、あんな感じだったような気はするのですが、映像にすると、もっと詰めなきゃ、あの読んだ感じのスリルは出ないですよね。
 
 ところで、私が一番気になったのは、(これは、テレビ版を見ていた時も思ったのですが)「蝉しぐれ」(原作)って、恋愛話だっけ・・?ということなのです。

 私のイメージでは、「蝉しぐれ」は、青春の話で、友情の話だったんですよね。

 だから、私の中では主人公に次ぐキャラクターは、友人の与之助や逸平で、ふく は、その次だったんですが・・。
「用心棒日月抄」のシリーズだったら、ラブストーリー(^^;)だと思うんですけどね〜。

 ということで原作を読み直そうと思っているところです。

・・・ ・・・ ・・・
タイトル    「蝉しぐれ」 平成17年・蝉しぐれ製作委員会
製作       俣木盾夫
脚本(原作)   黒土三男(藤沢周平)
音楽       岩代太郎
美術       櫻木晶
撮影       釘宮慎治
監督       黒土三男
出演       市川染五郎、木村佳乃、緒形拳、今田耕司、ふかわりょう
by cariq | 2005-11-04 01:10 | 見る